PMP試験の基礎

PMPとは?2026年7月の新試験に対応した基礎知識

受験資格の確認が、PMPの最初の関門

PMP(Project Management Professional)は、米国のPMI(Project Management Institute)が認定するプロジェクトマネジメントの国際資格です。勉強すれば受けられる試験ではありません。申し込みの時点で、学歴に応じた実務経験の月数と35時間以上の研修を求められ、ここで足りなければ試験会場にたどり着けません。

日本国内では大手SIerやコンサルティングファームを中心に評価され、案件の応札要件になることもあります。

そして2026年7月9日、試験内容と受験資格の記載が変わりました。それ以前に書かれた解説とは食い違う箇所があるため、以下はPMIの一次情報にあわせて書いています。

なお、学習計画や勉強の進め方はここでは扱いません。学習時間の配分や模擬試験の使い方は、別記事「PMP試験の勉強法」で解説しています。

対象は「関わった人」ではなく「率いた人」

実務経験そのものが受験の前提になっている資格は、それほど多くありません。PMIは、認定保有者には学術的な教育、商業的な研修、実務者としての職務経験という複数の要素からなる背景が期待されると説明しています。プロジェクトを主導・管理した経験がある人を、はじめから対象にしているということです。

業界の縛りはありません。IT・建設・製造・製薬など、プロジェクト型の仕事はあらゆる業界にあるため、保有者の職種も幅広く分布しています。PMI自身も、認定が業界と国境を越えて通用する(ポータブルである)ことを強みに挙げています。

試験は英語のほか複数の言語に翻訳されており、日本語も対象です。翻訳版でも、設問ごとに英語の原文を表示するボタンが用意されています。

2026年7月9日から試験が新形式に変わった

PMP試験は2026年7月9日に改定され、出題範囲を定めるECO(Exam Content Outline、試験内容概要)が新しくなりました。

出題は3つのドメインに分かれ、その比率は「人(People)」が33%、「プロセス(Process)」が41%、「ビジネス環境(Business Environment)」が26%です。PMIは、ドメインのレベルではこの比率を守ると明記しています。

最も大きな変化はビジネス環境の比率で、従来の8%から26%へと3倍以上に拡大しました。問われる力の重心が動いています。計画通りに完遂できるかに加えて、そのプロジェクトが組織にどんな価値をもたらすのかを判断できるか。ここが出題の4分の1を占めるようになりました。

アプローチ別では、およそ40%が予測型を扱い、残りのおよそ60%が適応型(アジャイル)とハイブリッドに割り振られます。さらにPMIは、これら3つのアプローチは特定のドメインに固まらず、3つのドメインすべてを横断して現れると明記しています。

2026年7月9日から適用される新ECOの出題比率

  • プロセス41%
  • 33%
  • ビジネス環境26%旧ECOでは8%
出典:PMI「PMP Examination Content Outline – July 2026」(2026年7月19日確認)。ビジネス環境は8%から26%へ3倍以上に拡大した。

試験の形式と出題タイプ

出題数は180問、試験時間は240分です。うち170問が採点対象で、残り10問は将来の問題の妥当性を検証する事前テスト問題であり、得点に含まれません。事前テスト問題は全体にランダムに配置され、どれがそれにあたるかは示されないため、実質的には全問に等しく取り組むことになります。

試験中には10分間の休憩が2回あります。1回目はケーススタディのセクション終了後、2回目は独立形式の問題部分のおよそ中間です。注意すべきなのは、休憩に入ると前のセクションには戻れない点です。なお試験前のチュートリアルと試験後のアンケートは任意で、所要時間は240分に含まれません。

出題形式は四択だけではありません。2026年版ECOでは6種類が挙げられています。第1に、新形式のケースまたはシナリオ問題で、グラフや図表を含む詳細な状況説明を読んだうえで一連の設問に答えます。第2に、拡張マッチング問題。第3に、これも新形式のグラフィックベース問題で、チャートや図などの視覚情報を読み取って答えます。第4に、正答が1つの多肢選択問題。第5に、正答が複数ある複数選択問題。第6に、画像上の正しい箇所をクリックするポイント&クリック問題です。

このうち拡張マッチングとポイント&クリックは、コンピューターベース試験(CBT)でのみ出題されます。読解と図表解釈に時間を取られる形式が増えました。四択だけを前提に1問あたりの持ち時間を割り出しておくと、ケース問題の途中で計算が崩れます。

受験資格:学歴に応じた4つの区分

PMPの受験資格は、「学歴に応じた実務経験」と「35時間以上の研修」の2つを満たす必要があります。まず前提となるのが実務経験の遡及期間です。PMIは、すべての経験が申請提出前の直近10年以内に職業上の環境で積まれたものでなければならないと定めています。以前の情報では8年と記載されていることがありますが、2026年7月版ECOの記載は10年です。

学歴の区分は4つあり、区分ごとに必要な実務経験の月数が異なります。第1に、高等学校卒業やそれに相当する後期中等教育の修了の場合、直近10年以内に60ヶ月(5年)の、重複しないプロジェクト主導経験が必要です。第2に、短期大学・高等専門学校・専門学校などの短期高等教育の課程を修了している場合は48ヶ月(4年)。第3に、認可された教育機関の学士号(またはそれ以上の学位)なら36ヶ月(3年)。第4に、PMIのGAC(Global Accreditation Center)の認定を受けたプログラムが授与した学士号または大学院の学位なら24ヶ月(2年)です。

以前は「四大卒か、それ以外か」の2区分で説明されるのが一般的でしたが、現在は上記の4区分です。短期大学や高等専門学校を卒業している方は、高卒扱いの60ヶ月ではなく48ヶ月で申請できる可能性があるため、自分がどの区分に該当するかを必ず確認してください。なおPMIは、GAC認定はプログラムの品質を示す指定であり、それ自体が必要な学位のレベルを変えるものではないと注記しています。

学歴区分ごとに必要な実務経験と研修時間

学歴必要な実務経験35時間研修
後期中等教育(高卒など)60か月必要
短期高等教育(短大・高専など)48か月必要
学士36か月必要
GAC認定校の学位24か月必要
CAPM保有者学歴区分に準じる免除
実務経験はいずれも直近10年以内に積んだものに限る。出典:PMI「PMP Examination Content Outline – July 2026」(2026年7月19日確認)。

実務経験の数え方と「主導・管理」の意味

実務経験は「参加した」だけでは足りず、プロジェクトを主導し指揮した経験である必要があります。PMIはPMBOKガイドの定義を引き、プロジェクトとは価値を生み出すために行われる、開始と終了がある一時的な取り組みだと説明しています。

経験の量は、プロジェクトの本数ではなく月数で数えます。同じ6ヶ月間に何本を率いても6ヶ月です。効いてくるのが「重複しない」という条件で、PMIが挙げている例では、1月1日から3月31日までのプロジェクトIと、2月1日から5月31日までのプロジェクトIIを率いた場合、合計は7ヶ月ではなく5ヶ月になります。並行して案件を回してきた人ほど、体感より月数が短く出ます。申請書に書き始める前に、案件ごとの開始日と終了日をカレンダーに並べて、重なりを潰した実月数を出しておいてください。

対象となる経験の範囲にも制限があります。報酬を伴う必要はありませんが、職業上の環境で行われたものである必要があります。PMIは、学校の課題、学術研究、私的なイベントの計画、自宅のリフォームは該当しないと明記しています。

35時間の研修要件とCAPM保有者の免除

実務経験にくわえて、ECOに沿った35時間以上のプロジェクトマネジメント研修(商業的研修)の修了が要件です。1時間の講義が1研修時間にあたり、週3時間の講座を15週受講した場合は45研修時間として記録します。講座の一部だけがプロジェクトマネジメントを扱う場合は、その部分の時間だけを算入します。研修時間はいつ受けたものでも記録できます。

研修の提供元は幅広く認められており、PMI公認のATP(Authorized Training Partner)、認定された高等教育機関の講座、勤務先が実施する研修、研修会社による講座、修了時の評価テストを含む自習型のオンデマンド講座などが対象です。ただしPMIは、書籍と模擬試験だけでは研修要件として認められないと明記しています。独学中心の場合も、要件を満たす研修は別途受講が必要です。

免除の規定もあります。有効なCAPM(Certified Associate in Project Management)認定を保有し、学歴と実務経験の要件を満たしている場合、35研修時間を記録する必要がありません。PMIの表現では、研修要件そのものが免除(waived)され、CAPMの保有により35研修時間分のクレジットが与えられます。以前の制度で語られていた「23時間に短縮される」という説明は、現行の規定ではありません。なお、GAC認定プログラムの卒業生は、その課程のコースワークを35研修時間に充当できます。

申請から受験までの流れと監査への備え

受験までの流れは次のとおりです。第1に、PMIのオンライン申請システムで学歴・実務経験・研修時間を記入して申請します。第2に、承認されると認定料の支払いに進みます。第3に、支払いが確認されると、受験資格ID(PMI Eligibility ID)を記載した通知メールが届きます。第4に、このIDで試験日程を予約します。

この途中に監査(audit)が入る可能性があります。PMIはすべての申請を監査の対象とし、そのうち一定の割合が選ばれます。求められる書類は3種類です。第1に、学位・卒業証書またはそれに相当するものの写し。第2に、申請の実務経験欄に記載した各経験について、上長またはマネージャーの署名。第3に、研修時間として申請した各講座の修了証または証明書の写しです。詰まりやすいのは2つ目です。転職していると当時の上長と連絡が取れず、ここで期限を使い切ります。申請を出す前に連絡先を押さえておいてください。

提出期限は通知から90日間で、書類が揃っていれば完了までおおむね5〜7営業日です。監査が完了するまで手続きは進められず、1年間の受験可能期間は監査に合格した日から起算されます。要件を満たせなかった場合は、再申請までに1年間の停止期間が課されます。

申請から受験までの流れ

  1. STEP 1PMIアカウントを作成する会員になるなら、受験料の支払いより先に手続きを済ませる。会員価格が適用されるのは支払い前に会員資格を取得した場合に限られる。
  2. STEP 2実務経験を英語で記述する案件ごとに役割と成果を書く。記述が曖昧だと差し戻しの原因になる。
  3. STEP 3申請を提出し、審査を待つ一定の割合で監査(オーディット)の対象に選ばれる。選ばれた場合は上長などの証明書類を提出する。
  4. STEP 4受験料を支払う支払いが完了すると、1年間の受験可能期間が始まる。
  5. STEP 5試験を予約して受験するテストセンター受験かオンライン受験かを選ぶ。日程変更は試験の48時間前まで。
監査に選ばれた場合、当時の上長と連絡が取れずに期限を使い切る例が多い。連絡先は受験を決めた時点で確保しておく。

費用の考え方と、日程変更・キャンセルの規定

受験費用について、PMIは認定ハンドブックのなかで一律の金額を示していません。日本語版のハンドブックにも、PMI資格の取得に要する料金は会員や地域の価格ルールによって異なるため、PMI.orgの資格認定メニューから最新の価格を確認するように、と書かれているだけです。金額そのものが公式文書に載っていません。

この記事に具体的な受験料を書いていないのは、2026年7月19日時点で公式の数字に到達できなかったためです。PMI日本支部のサイトも受験料の金額を掲載しておらず、費用に関する情報はPMI本部のサイトを参照するよう案内しています。一方、第三者の解説サイトには金額が出ていますが、会員405ドル・非会員555ドルとするもの、会員425ドル・非会員675ドルとするもの、非会員655ドルとするものが混在しており、互いに食い違っています。裏づけのないまま、このうちのどれかを選んで断定することはしません。受験料は改定されることがあります。申し込みの前に、必ずPMI公式サイト(pmi.org)の資格認定メニューで、ご自身の会員区分と地域に対応する最新の金額を確認してください。

運用上の注意が1点あります。PMIは、会員価格が適用されるのは認定料の支払い前に会員資格を取得した候補者に限られると明記しています。会員になるなら、支払いより先に手続きを済ませてください。

一方、金額が明示されている費用もあります。第1に、予約した試験日の30日以内に日程変更またはキャンセルを行った場合、70米ドルと税が課されます。この30日の起算に試験当日は含まれず、5月5日に予約しているなら4月4日までに手続きすれば手数料はかかりません。第2に、試験の48時間前を過ぎると日程変更ができなくなり、受験しなかった場合は受験料の全額を失います。第3に、2回目・3回目の挑戦にも、あらためて費用の支払いが必要です。

受験可能期間と再受験のルール

申請が承認されると、1年間の受験可能期間(eligibility period)が与えられます。この1年の間に試験を受けることになり、不合格だった場合はさらに2回、合計3回まで挑戦できます。

3回とも合格に至らなかった場合は、最後の受験日から1年間待ってから再申請します。PMIはこれを、試験の機密性を保つための方針だと説明しています。この待機期間中も、他のPMI認定に申請することは可能です。

見落とされやすいのが期間切れの扱いです。3回受験していなくても、1年間の受験可能期間が満了して合格していない場合は再申請が必要になります。ただしこの場合は待機期間が課されず、すぐに再申請できます。

合格判定とスコアレポートの読み方

合格ラインについて、PMIは「何点以上で合格」という具体的な点数を公表していません。認定ハンドブックには、すべてのPMI試験の合格ラインは適切な心理測定分析(psychometric analysis)によって決定されると記載されています。また、これらの試験は基準準拠型(criteria-based)で、対象職務の有資格者の基準を満たすかどうかで合否を判定するとも説明されています。合格率や必要正答率を断定的に示す解説は、公式に裏づけのある数字ではありません。

試験結果は、全体の合否に加えてドメインごとの診断情報として提供され、4段階の評価区分が用いられます。第1に「Above Target」は最低要件を上回る成績。第2に「Target」は最低要件を満たす成績。第3に「Below Target」は目標をわずかに下回り最低要件を満たしていない状態で、再受験の前に追加の準備が推奨されます。第4に「Needs Improvement」は目標を大きく下回る状態で、追加の準備が強く推奨されます。PMIは、これらの区分は準備が必要な領域を把握するためのものであり、他の目的に用いるべきではないと注記しています。

取得後の更新制度(CCR)の入口

PMPは、一度取得すれば永続的に有効な資格ではありません。PMI認定の取得者は全員、CCR(Continuing Certification Requirements、継続的認定要件)プログラムに参加して認定を維持する必要があり、PMPの更新サイクルは3年です。

PMPの場合、3年間で60PDU(Professional Development Unit、専門能力開発ユニット)の獲得が求められます。内訳には条件があり、第1に、教育(Education)によるPDUには最低35PDUという下限があります。第2に、専門職への還元(Giving Back to the Profession)によるPDUは最大25PDUまでです。還元は任意で、示された数字は上限にあたるため、教育だけで60PDUを満たすことも可能です。

さらに、PMIタレントトライアングルの3つのスキル領域それぞれに一定量を割り振る必要があります。PMPでは「働き方(Ways of Working)」「パワースキル(Power Skills)」「ビジネス感覚(Business Acumen)」の各領域について最低8PDUずつが求められ、合計24PDUが領域別の下限です。PMPは受かって終わりの資格ではありません。3年ごとに学習時間と記録の手間が戻ってくることまで含めて、受験するかどうかを決めてください。

PMBOKガイド第8版との関係

PMP試験と関連して語られることの多いPMBOKガイドは、2025年11月に第8版の英語版が公開されました。第7版からの主な変更は、12の原則が6つに整理され、8つのパフォーマンス領域が7つになり、プロセスと重点分野が再導入された点です。なお試験範囲そのものはECOが定めます。

ここで誤解されやすいのは、PMBOKガイドは試験の教科書ではないということです。試験範囲を定めるのはECOであり、2026年版ECOのなかでPMI自身が、PMP認定試験は特定の単一の書籍にもとづいて作成されているわけではないと明記しています。第8版を読み込めば合格できるわけではなく、逆に読んでいないと合格できないわけでもありません。

旧ECO前提の解説が、まだ大量に残っている

2026年7月9日より前に書かれた記事や問題集は、旧ECOを前提にしています。見分ける目印は3つあります。ドメイン比率の説明で、ビジネス環境が8%のままになっているもの。実務経験の遡及期間を8年としているもの。CAPM保有者の研修要件を23時間に短縮されると書いているもの。いずれも現行の規定とは違います。検索で上位に出てくる解説でも、更新日が古ければこの3点を先に当ててください。

そのうえで、自分の手元で確認する順番です。まず、どの学歴区分に該当するか。高卒相当なら60ヶ月、短大・高専等なら48ヶ月、学士なら36ヶ月、GAC認定校の学位なら24ヶ月です。次に、その経験が直近10年以内に収まり、重複を除いた月数で要件に届くか。3つ目が35時間の研修をどう確保するか。有効なCAPMを保有しているなら、この要件自体が免除されます。最後に、監査で求められる卒業証明・上長の署名・研修修了証を、90日以内に揃えられるかどうか。

受験を決めたあとの学習計画は、別記事「PMP試験の勉強法」で、学習時間の配分や模擬試験の使い方を扱っています。

制度面は改定されます。ここに書いたのは2026年7月19日時点のPMI公式文書で確認できた内容であり、それ以降の変更は反映していません。申し込みの前に、PMI公式サイトで最新のECOと認定ハンドブックを確認してください。

出典・参考

公開情報および各機関の一次情報をもとに、PMアンカー編集部が作成・更新しています。事実関係は出典を明記し、内容は定期的に見直しています。