プロジェクト実務
ガントチャートの作り方:WBSから工程表に落とし、遅れを早く見つける手順
線を引く前に、分解を終わらせます
ガントチャートは、いきなり棒を並べると破綻します。先にWBSでタスクを分解しておくことが前提です。分解が粗いまま線を引くと、抜けや重なりがそのまま工程表に写ります。まずはWBSの作り方で成果物ベースに分けるところから始めます。
分解が済んでいれば、あとは各タスクに順序・依存・担当・期間を与えるだけです。ガントチャートは、その4つを時間軸の上に置いたものにすぎません。
作る手順は、5つに分けられます
手を動かす順番を決めておくと、作り直しが減ります。次の5段階で組みます。
ガントチャートを作る5ステップ
- 1タスクを並べるWBSの末端(ワークパッケージ)を縦に並べます。ここが各行になります。
- 2順序を決めるどれが先で、どれが後か。着手できる順に整理します。
- 3依存関係を引く前が終わらないと始まらない、といったつながりを線で結びます。
- 4担当と期間を入れる誰が、何日かけるか。ここで初めて棒の長さが決まります。
- 5基準線を保存する最初の計画をベースラインとして記録します。後で実績と比べる物差しになります。
依存関係は、4つのタイプで整理します
9割は「終了-開始(FS)」で足ります。前が終わってから次が始まる、いちばん素直なつながりです。残る3つは、同時に始める、終わりをそろえる、といった特殊な場面で使います。
型を正しく引いておくと、1つの遅れがどこまで波及するかが見えます。ただし小さな案件で4タイプ全部を無理に引くと、線が増えるだけで遅れは見つけやすくなりません。まずFSだけで組んで構いません。下の表が、その4タイプです。
タスクの依存関係 4タイプ
| 型 | 意味 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 終了-開始(FS) | 前タスクが終わってから後タスクを始める | もっとも一般的。設計が終わってから実装、など |
| 開始-開始(SS) | 前タスクが始まったら後タスクも始める | 並行して進める作業。基盤構築と並走するテスト準備、など |
| 終了-終了(FF) | 前タスクの終了に後タスクの終了を合わせる | 締めをそろえる作業。開発完了とドキュメント完成、など |
| 開始-終了(SF) | 前タスクの開始に後タスクの終了を合わせる | まれ。旧体制の終了を新体制の開始にそろえる、など |
更新しないガントチャートは、飾りになります
作った直後がいちばん正確で、放っておくほど実態から離れます。週に一度は実績を書き込み、ベースラインと重ねて見ます。ずれた棒が、遅れているタスクです。
とくに注意して見るのが、クリティカルパスです。ここは、遅れると全体の納期がそのまま延びる、最長の経路をいいます(複数になることもあります)。余裕のあるタスクの遅れは吸収できても、クリティカルパス上の遅れは吸収できません。進捗確認は、まずここから見ます。追い方は進捗管理にまとめています。
ツールは、更新が続く形で選びます
ガントチャートは、Excelでも専用ツールでも作れます。分かれ目は、更新が続くかどうかです。担当者が毎週開いて直せる手軽さがなければ、どんなに高機能でも止まります。ツールの比べ方はプロジェクト管理ツールの比較で扱っています。
ガントチャートの値打ちは、きれいな工程表を作ることではありません。遅れを、手遅れになる前に見つけること。そのために作り、そのために毎週直します。
出典・参考
公開情報をもとに、PMアンカー編集部が作成・更新しています。依存関係やクリティカルパスの用語は、プロジェクト管理の標準的な定義に沿っています。ツールの機能や画面は各製品で異なるため、導入時に最新の仕様をご確認ください。