PMP試験の基礎

PMP資格の更新:3年60PDUの内訳・更新手数料・期限切れまでの流れ

合格日から3年、60PDUと更新料が繰り返し要る

PMPは、合格した時点で完成する資格ではありません。PMIが運営するCCR(Continuing Certification Requirements、継続認定要件)というプログラムに参加し、3年ごとに更新手続きを行います。放置すれば、資格は自動的に失効へ向かいます。

以下はPMI公式のCCRハンドブック(最終更新2026年4月)とPMP公式ハンドブックにもとづき、2026年7月19日時点で確認した内容です。CCR制度もPMIの料金体系も改定されます。手数料は特に変わりやすいので、手続きに入る前には、PMI公式サイト(pmi.org)で最新の要件と金額を必ず確認してください。

更新まわりの情報はネット上に大量にありますが、金額や要件が数年前のまま更新されていない記事も多く見かけます。特に手数料は、後述のとおり公式文書で裏が取れません。

CCRサイクルは3年、起点は合格日

CCRの認定サイクルは3年です。ここで見落とされやすいのが、サイクルの起点が「登録日」や「認定証の発行日」ではなく、試験に合格した日であるという点です。CCRハンドブックには、試験に合格したその日からCCRサイクルが始まり、3年間続くと明記されています。

つまり、合格から3年後の同じ日がサイクルの終了日になります。この日までに、必要なPDU(Professional Development Unit、専門能力開発ユニット)を獲得して報告し、かつ更新料の支払いを済ませる必要があります。

PDUの獲得と報告が終わっていれば、サイクルの終了を待たずに、いつでも更新手続きを完了させることができます。3年目の終わりまで待つ必要はありません。むしろ余裕を持って済ませておくほうが安全です。

PMPに必要なのは3年で60PDU

PMPの場合、3年のサイクルで合計60PDUが必要です。この60PDUは、性質の異なる2つの領域に分かれています。

第1が「Education(教育)」で、最低35PDUが必要です。これは自分の技術的スキル、リーダーシップ、戦略・ビジネスマネジメントの能力を広げるための学習活動を指します。ここには上限がなく、60PDUすべてをEducationで満たしても構いません。

第2が「Giving Back to the Profession(専門職への還元)」で、こちらは最大25PDUまでです。自分の知識やスキルを共有し、プロジェクトマネジメントという専門職の発展に貢献する活動が該当します。ここは最大値であって、必須ではありません。CCRハンドブックは、Giving Backを「PDUを獲得するための任意の方法」と明記しています。

PDUの単位は時間です。1時間の学習や還元活動が1PDUに相当します。1時間に満たない活動は15分刻みで換算され、45分が0.75PDU、30分が0.50PDU、15分が0.25PDUとなります。

Talent Triangleの配分要件:8・8・8と残り11

Educationの35PDUは、好きな分野で自由に埋められるわけではありません。PMI Talent Triangleと呼ばれる3つのスキル領域それぞれに、最低限の配分が定められています。

PMPの場合、Ways of Working(働き方)で最低8PDU、Power Skills(対人スキル)で最低8PDU、Business Acumen(ビジネス感覚)で最低8PDUが必要です。この合計24PDUを差し引いた残りの11PDUは、Talent Triangleのどの領域で獲得しても構いません。

この3領域は、それぞれ異なる能力を指しています。Ways of Workingは、仕事を進める手法の幅を指します。予測型もアジャイルもハイブリッドも、状況に応じて適切な技法を選べる状態を目指す領域です。Power Skillsは、協働型のリーダーシップ、コミュニケーション、革新的な発想、目的志向、共感といった対人スキルを含みます。Business Acumenは、意思決定力と、自分のプロジェクトが組織戦略やより広い動向にどう結びつくかを理解する力を指します。

学習計画は、この配分から逆算してください。技術系の研修ばかり受けていると、Ways of Workingは余るのにBusiness Acumenが8PDUに届かない、という偏りが起きます。合計が60を超えていても、領域の1つが8に届かなければ更新できません。サイクル終盤で、興味のない分野のウェビナーを8時間分探すことになります。

PMPの60PDUの内訳と、領域ごとの下限・上限

区分必要なPDU条件
Education(教育)最低35PDU上限なし。60PDUすべてをEducationで満たしてもよい
Ways of Working(働き方)Educationのうち最低8PDU予測型・アジャイル・ハイブリッドの技法を状況に応じて選べる力
Power Skills(対人スキル)Educationのうち最低8PDU協働型リーダーシップ、コミュニケーション、共感など
Business Acumen(ビジネス感覚)Educationのうち最低8PDU意思決定力と、組織戦略との結びつきを理解する力
Educationの自由枠残り11PDUTalent Triangleのどの領域で獲得してもよい
Giving Back(専門職への還元)最大25PDU任意。必須ではなく、上限として設定されている
1時間の活動が1PDU。合計が60を超えていても、Talent Triangleの1領域が8PDUに届かなければ更新できない。出典:PMI「Continuing Certification Requirements (CCR) Handbook」最終更新2026年4月(2026年7月19日確認)。

更新手数料:PMIは公式に金額を公表していない

ここで金額を書けません。2026年7月19日時点で確認した限り、PMIは更新手数料の具体的な金額を公開文書に載せていないためです。

CCRハンドブック(2026年4月版)の「Certification Renewal Fees and Policies」の項には、更新料は会員資格と地域別価格の対象であること、最新の価格は自分のmyPMIダッシュボードにログインして「Renew Certification」を選ぶことで確認できること、が書かれているだけです。PMP公式ハンドブックにも同様に、PMPの更新には会員資格と地域別価格にもとづく支払いが必要である、と記されているのみで、金額の記載はありません。

つまり、更新料はPMI会員かどうかによって変わり、さらに居住地域によっても変わります。決済に対応している通貨として、米ドル、ユーロ、ブラジルレアル、インドルピーが挙げられています。日本在住者がいくら払うことになるかは、自分のダッシュボード上の表示を確認するのが唯一の確実な方法です。

ネット上の解説記事には、更新料を具体的な金額で断定しているものが多数あります。ただし公式文書で裏づけが取れる金額は、本記事の確認範囲では見つかりませんでした。参考までに、PMIが金額を明記している例としてCAPM資格に関する2020年の公式FAQがあり、そこでは会員60米ドル、非会員150米ドルと記載されていますが、これはCAPMについての、しかも6年前の記述です。PMPの現在の金額としてそのまま流用できるものではないため、本記事では金額の断定を避けます。

もう一点、混同されやすい重要な区別があります。PMIの年会費(メンバーシップ更新料)と、資格の更新料(CCR更新料)は、まったく別の費用です。CCRハンドブックはこの点をわざわざ注記しています。会員費を払っているから資格更新も済んでいる、ということにはなりません。逆に、PMI会員でなくても資格の更新自体は可能です。会員費と更新料の合計で比較したうえで、会員になるかどうかを判断するのが合理的です。

費用をかけずにPDUを貯める方法

60PDUと聞くと有料研修を並べる必要があるように見えますが、CCRハンドブックが認めている活動の幅は広く、支出はかなり抑えられます。以下はいずれもPMI公式が定めるPDU獲得カテゴリです。

第1に、読書です。専門職に関連する自主的な読書がEducation PDUとして認められます。対象は書籍に限らず、記事、ホワイトペーパー、ブログも含まれます。著者名、タイトル、概要、開始日と完了日を記録しておけば申請できます。1時間の学習が1PDUという換算です。

第2に、オンラインやデジタルメディアによる自己学習です。録画されたウェビナー、ポッドキャスト、デジタル録画、バーチャルイベントの視聴がPDUの対象になります。無料で公開されているコンテンツも多く、通勤時間などを活用しやすい領域です。

第3に、インフォーマルラーニングです。メンタリングのセッション、パネルディスカッション、ランチ・アンド・ラーンなど、構造化された議論であればPDUとして申請できます。社内の勉強会も、要件を満たせば対象になります。

第4に、組織のミーティングやイベントへの参加です。教育的な要素を含む専門職の会合が該当し、PMIチャプター(支部)の活動などが例として挙げられています。

第5に、実務そのものです。Giving Backのカテゴリには「Work as a Practitioner(実務者として働く)」があり、認定に関連する職務に就いていれば、PMP保有者は1サイクルあたり最大8PDUを申請できます。3年間その職務にあれば8PDU、という扱いです。この申請は1サイクルにつき1回だけ可能で、Giving Backの上限25PDUの内数になります。

第6に、還元系の活動です。ボランティア、コンテンツの作成(書籍・記事・ブログの執筆、ウェビナーやプレゼン資料の作成)、プレゼンテーションの実施、メンターや講師、コーチとしての知識共有が、いずれもGiving Back PDUとして認められます。プレゼンテーションについては、準備にかけた時間と実施した時間の両方を申請できます。

実務で8PDU、残りを読書・オンライン視聴・社内勉強会・ボランティアで埋める。この組み方なら、有料研修をゼロにすることも設計上は可能です。ただし記録が残らない活動は申請できません。無料であることの代償は、自分で日付とタイトルを残し続ける手間のほうに出ます。

期限を過ぎたらどうなるか:サスペンドと失効

サイクル終了日までに要件を満たせなかった場合、資格は即座に消滅するわけではなく、まず「サスペンド(Suspended、一時停止)」の状態に入ります。

サスペンド期間は1年間(12ヶ月)です。この期間中は、自分を資格保有者と名乗ることも、PMPの称号を使用することもできません。名刺や職務経歴書にPMPと書けなくなる、ということです。この1年のあいだに必要なPDUを獲得し、更新手続きを完了させれば、アクティブな状態に戻れます。

見落とされやすい仕掛けがここにあります。サスペンドから復帰しても、次のCCRサイクルの日程は変わりません。サスペンド期間は次のサイクルの期間と重なる形で進むため、遅れた分だけ次のサイクルに使える実質的な時間が短くなります。つまり、遅延のコストは繰り越されるということです。

サスペンド期間の1年が経過しても更新が完了しない場合、資格は「Expired(失効)」となります。この段階に至ると、PDUの提出はできなくなり、資格保有者とは見なされません。再びPMPを名乗るには、新規に申請書を提出し、所定の費用を支払い、そして試験を受け直す必要があります。積み上げた実績はリセットされ、受験からやり直しになるという扱いです。

なお、引退にともなって資格を返上する場合には、「Retiree(退職者)」というステータスが用意されています。プロジェクトマネジメント分野で主たる報酬を得ていないこと、そして10年以上継続して良好な状態で資格を保有していたことが条件です。この状態になればPDUの獲得も報告も不要になります。

更新が間に合わなかった場合のステータスと扱い

ステータス期間できること・できないこと
アクティブ合格日から3年のCCRサイクルPMPを名乗れる。要件を満たせばいつでも更新手続きを完了できる
サスペンド(一時停止)サイクル終了後の1年間PMPを名乗れない。この期間中にPDUを獲得して更新すれば復帰できる
失効(Expired)サスペンドの1年が経過した後PDUの提出ができなくなる。再びPMPを名乗るには再申請と再受験が必要
退職者(Retiree)条件を満たす場合PDUの獲得も報告も不要。当該分野で主たる報酬を得ておらず、10年以上良好な状態で保有していたことが条件
サスペンドから復帰しても次のCCRサイクルの日程は変わらないため、遅れた分だけ次のサイクルに使える時間が短くなる。出典:PMI「Continuing Certification Requirements (CCR) Handbook」最終更新2026年4月(2026年7月19日確認)。

手続きは6ステップ。つまずくのは監査と繰り越しの条件

手続き自体で迷うところはありません。合格日にサイクルが始まり、PDUを獲得してCCRS(Continuing Certification Renewal System)に報告し、必要数を満たしたうえで更新料を支払うと、新しいサイクルの認定証が発行されます。流れは次のとおりです。

支払期限には明確なルールがあります。PDU要件を満たしていればサイクル中いつでも更新できますが、支払いはサイクル終了日から遅くとも90日以内に行う必要があります。

監査についても認識しておくべきです。PMPの保有者は全員が監査の対象になり得ます。一定割合の資格保有者がランダムに選ばれ、選ばれた場合は申請したPDUを裏づける資料の提出を求められます。CCRハンドブックは、すべてのPDU申請について、CCRサイクルの終了後も最低18ヶ月間は証拠書類を保管しておくよう求めています。研修の修了証、参加証明、読書のメモと日付は、申請したその日にまとめて1か所へ入れておいてください。

余剰PDUの繰り越しも押さえておくと計画が立てやすくなります。必要数を超えてPDUを獲得した場合、PMPでは最大20PDUを次のサイクルに繰り越せます。ただし繰り越せるのは、サイクルの最終年(直近12ヶ月)に獲得したPDUに限られます。早い時期に貯め込んだ分は繰り越せないため、計画的に活用したい場合はサイクル後半での獲得を意識することになります。

複数のPMI資格を保有している場合の扱いも合理化されています。Power SkillsとBusiness AcumenのPDUは分野を問わない広い学習内容であるため、保有するすべての資格に対して重複して計上できます。Giving Back系のPDUも同様に、すべての資格に適用できます。さらに、獲得したWays of WorkingのPDUはすべてPMPの維持にカウントされる、という規定もあります。

最後に、申請できないPDUについても触れておきます。PMI資格を取得する前に完了した活動はPDUの対象外です。また、同一のコースや活動を複数回にわたって申請することもできません。合格前に受けた35時間の研修を更新に流用する、といった使い方はできないということです。

3年分をサイクル最終年にまとめて処理しようとすると、証拠書類の掘り起こしから始めることになります。読んだその日、見たその日にCCRSへ登録する。運用としてはこれだけです。まず自分の合格日を調べ、その3年後をカレンダーに入れてください。

更新手続きの6ステップ

  1. STEP 1CCRサイクルが始まる試験に合格した日が起点。登録日でも認定証の発行日でもない。ここから3年間が1サイクルになる。
  2. STEP 2PDUを獲得する専門能力開発の活動に参加する。研修だけでなく、読書、オンライン視聴、社内勉強会、実務なども対象になる。
  3. STEP 3その都度CCRSに報告するmyPMIのダッシュボードまたはPMIのモバイルアプリから申請する。まとめて処理しようとすると証拠書類の掘り起こしから始めることになる。
  4. STEP 4必要なPDU数を満たす合計60PDU。Educationで最低35PDU、Talent Triangleの3領域はそれぞれ最低8PDU。
  5. STEP 5更新料を支払う更新可能の通知がメールとダッシュボードに届く。支払いはサイクル終了日から遅くとも90日以内に行う。
  6. STEP 6新しい認定証が発行される処理が完了すると、新しい認定サイクルの日付が入った認定証が発行される。
全保有者が監査の対象になり得る。申請したPDUの証拠書類は、サイクル終了後も最低18ヶ月間の保管が求められる。出典:PMI「Continuing Certification Requirements (CCR) Handbook」最終更新2026年4月(2026年7月19日確認)。

出典・参考

公開情報および各機関の一次情報をもとに、PMアンカー編集部が作成・更新しています。事実関係は出典を明記し、内容は定期的に見直しています。